2013年4月30日火曜日

毎日新聞: 降圧剤不正:大学の任意調査に限界 疑惑の解明なお遠く

降圧剤不正:大学の任意調査に限界 疑惑の解明なお遠く

毎日新聞 2013年07月12日 00時25分(最終更新 07月12日 09時57分)




降圧剤バルサンルタンの臨床試験を巡る動き=2013年7月12日
降圧剤バルサンルタンの臨床試験を巡る動き=2013年7月12日

 バルサルタンは昨年度、日本で最も売れた医療用医薬品で、1083億円を売り上げた。これは保険料として国民が負担してきたのに、売り上げを支えた論文の正当性は失われた。ノバルティスファーマには説明責任が求められる。
 京都府立医大の論文は、日本循環器学会の診療ガイドラインにも盛り込まれ、医療現場の医師たちの薬の選択に影響を与えてきた。このため、日本医師会の今村聡副会長は「論文が間違っていたなら、他の適切な治療を受ける患者の機会を不当に奪った恐れがある」と厳しく批判している。
 患者数が3000人規模の大規模な臨床試験には10億円以上の費用がかかるともいわれる。ノ社が研究チームや個々の研究者に資金提供をしていたことに関心が集まるが、府立医大は「調査中」として明らかにしなかった。ノ社も開示していない。
 府立医大は、肝心の統計解析をした元社員からは事情聴取できていない。「(ノ社に)既に退職しているとの理由から断られた」という。これに対し、ノ社は「元社員の強い意思だ」としており、大学による任意調査の限界を露呈した。疑惑の真相解明は容易ではない。【八田浩輔、河内敏康】

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