2013年7月5日金曜日

産経新聞: 賠償責任「薬害と別物」 刑事責任“虚偽”適用困難

【降圧剤データ操作】
賠償責任「薬害と別物」 刑事責任“虚偽”適用困難

2013.8.9 20:39
降圧剤問題をめぐる検討委員会の初会合で、あいさつする田村厚労相=9日、厚労省
降圧剤問題をめぐる検討委員会の初会合で、あいさつする田村厚労相=9日、厚労省
 ディオバン販売元のノバルティスファーマは、降圧効果に加え脳卒中や狭心症の予防などにも有効とした論文を宣伝に使用し、年間1千億円超を売り上げていた。先月29日の会見で患者らへの賠償責任を問われた二之宮義泰社長は「患者の役に立つ薬剤だと思っている」と述べ、それ以上の言及を避けたが、実際に患者らが民事訴訟を起こしたり、関係者の刑事責任を問うことは可能なのだろうか。
 「重篤な副作用被害が生じたこれまでの薬害問題とは性質が異なる」と指摘するのは、薬害エイズなど多くの医療訴訟を手がけてきた医療問題弁護団代表の鈴木利広弁護士だ。個々の患者が購入費用上の損害のみを対象に訴訟を起こすのは訴訟費用と見合わず、健康保険組合も、組合員の強い要請がない限り訴訟は現実的ではないという。鈴木弁護士は「真相究明が十分になされた後、業界団体が自主的な賠償を求めていくという方策もある」と話す。
 刑事責任はどうか。京都府立医大で論文不正が発覚した際、山田啓二府知事は「犯罪に当たる話なら告発しないといけない」と述べ刑事告発も視野に入れるよう求める姿勢を示した。
 捜査関係者は、産地偽装など品質を誤認させる表示を禁じた不正競争防止法違反が考えられるとする一方、「医薬品の顧客は専門家である病院や薬局。データの不正操作で『誤認させる』とまでいえるのか」と慎重な見方も示す。
 医薬品の製造販売などを規制する薬事法は虚偽や大げさな広告も禁じているが、別の捜査関係者は「降圧効果がある以上、『虚偽』ではないし『大げさな広告』とも言い難い」。降圧以外の効果を装い、不当な価格で購入させたとする刑法の詐欺罪の適用も「会社が元社員の不正を把握し、組織ぐるみでだます意図があったことを示す証拠が必要で、相当厳しいだろう」(同)としている。

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